あなたがいるだけで…失われた命と受け継がれた想いを受け止めて…
「城原さん。社長室と副社長室は隣同士だから、毎日のスケジュール確認はお願いできるかな? 後は、ついでで構わないから」
「社長がそう仰るなら、言われた通りに致します」
「良かったな聖龍。これで、少しは楽になると思うぞ」
「うん…」
何となくヒカルは複雑そうな目をしていた。
「改めて。俺は、宗田聖龍。この会社の副社長をやっています。これから、宜しくお願いします」
「…こちらこそ」
はにかんだ笑顔を浮かべたヒカル。
そんなヒカルを見ていると、奏弥はなんとなく聖龍とヒカルの間に何かがあると感じていた。
お昼休みになり。
ヒカルは一人屋上へやって来た。
昼休だが誰も来ていない屋上は、とても静かである。
ヒカルはベンチに座って、持ってきたお弁当を広げて食べ始めた。
おにぎり2つと、タッパーに詰めたおかず。
お箸でゆっくりと食べ始めたヒカルは、とても上品に食べている。
ピピッ。
携帯電話が鳴ってヒカルは電話に出た。
「はい、城原です。…はい…ええ、さっそくおかしなことを言いだしていました。…はい…分かりました。…」
電話を切ったヒカルは小さなため息をついた。
「必ず…仇はとるから…」
ギュッと携帯電話を握りしめたヒカルは、ギュッと唇を噛んだ。
何かを内に秘めているようなヒカル。
仇をとるとはあまり穏やかではない事を言っている… …。
お弁当の続きを食べ終わると、ヒカルはお弁当箱を鞄に閉まって屋上を後にした。