あなたがいるだけで…失われた命と受け継がれた想いを受け止めて…

 暫くして。

 家に残ったヒカルは暫く横になりボーっとしていたら、いつの間にか眠っていた。

 時刻を見ると16時を回っていた。
 さほど時間は経過していなく、かれこれ30分位い過ぎたくらいだった。

 目が覚めて、改めて聖龍の家に来てしまった事を痛感したヒカルは急に辛さを感じた。

 聖龍が愛していると言ってくれているのは、きっと高校生の時のヒカルと重ねているから。
 そう…姉のヒカルだと思っているからだろう。
 でも自分は姉ではない。

 貴方が思っているヒカルではないと知れば、気持ちは冷めてしまうに決まっている。
 でも自分も、今の一件が終われば宗田ホールディングを去ってゆくのだから、それでいいのだろう。
 
 これ以上は深入りしないようにしなくては。
 真実を知った時のショックはあまり大きくな方がいいから。

 そう思ったヒカルだが。
 急に分からない悲しい気持ちが込みあがって来て…気づけばスッと、頬に涙が伝っていた。

「あれ? …どうして? 」

 突然の涙にヒカル自身も驚いていた。

 なにが悲しいの?
 これは自分で決めた道だから仕方ないのに。
 もしかして…彼の事を本気で好きになってしまった?
 いやいや、それは…

(愛しているよ…)

 否定しようとしたヒカルの耳に、聖龍の声が聞こえてきた。

 なんで?
 凛太朗さんの弟だから?

 何度も気持ちを打ち消そうとしたが、込みあがる一方で…。

 ヒカルは頭が混乱していた。

 
 とりあえず横になろう。

 そう思ってベッドに寝転んだヒカル。
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