あなたがいるだけで…失われた命と受け継がれた想いを受け止めて…
「もういいから、泣きたいだけ泣いていいよ。ずっと、我慢して来たんだろう? 我慢しているから、本当の気持ちだって分からなくなるんだ。…いなくなってしまった人達が、あまりにも多いけど。みんな生きている人の幸せを願っているんだよ。…この広い宇宙で、出会えたことは奇跡だと思う。有難う、俺に出会ってくれて」
「いいんですか? 自分なんかが…」
「そんないい方しちゃいけないよ。一番傍にいる自分の事は、一番大切にしてあげて」
そっと身体を離した聖龍は、熱い目をしてヒカルを見つめた。
「…自分は…ずっと、貴方のお兄さん…凛太朗さんが好きでした。…でも、あんな死に方をしてしまって…。凜太郎さんが亡くなる前に、駅前で呼び止められました。でも…びっくりして、逃げてしまって…。その後に、凜太郎さんは転落死して…」
「そうだったんだ。有難う、兄貴を好きでいてくれて。きっと、幸せだったと思うよ」
「でも…」
「もういいから、何も言わないで」
ヒカルの言葉を塞ぐように、聖龍はそっと唇にキスをした。
唇から伝わる暖かい温もりに、ヒカルの張り詰めた思いがスーッと緩んで行く…。
スルっと聖龍がヒカルの口の中に入って来て、口の中いっぱい犯してゆくのが心地よく「もっとして」と求めてしまう…。
ギュッと聖龍の腕にヒカルが捕まると、グイッと抱き寄せてくれてキスが激しくなっていった。
「…ねぇ…俺の名前…呼んで…」
キスの合間に聖龍が言った。
「…聖龍さん…」
「さんはいらない、呼び捨てで構わないから」
「…聖龍…」
名前を呼ばれるともっと深いキスを繰り返してくる聖龍に、ヒカルはギュッとしがみついた。