あなたがいるだけで…失われた命と受け継がれた想いを受け止めて…
「愛している…愛香里…」
「自分も…愛しています…聖龍…」
狭いトンネルを通り抜け、奥まで辿り着いた聖龍を感じると暖かいエネルギーを感じる。
愛している…そう言ってくれているようで、暖かいエネルギーは最高に心地よい…。
(幸せになって、愛香里…。私、すごく幸せだったよ。愛香里と姉妹になれて本当に良かった…)
(兄ちゃん、僕の兄ちゃんになってくれて有難う。とっても幸せだったよ。これからは、心から好きな人を大切にしてね。僕の命を紡いでくれた人だからね)
姉のヒカルと香弥の声が遠ざかってゆくのを感じながら、やっと2人は安心して光になって行ったのだと思えた。
暫く2人で抱き合ったまま少しウトウトとしていた聖龍とヒカル。
「…シャワー行こうか」
「あ…お先にどうぞ…」
「どうして? 一緒に行こうよ」
「でも…恥ずかしいですから…」
「もう全部見ちゃったじゃないか。それに、ちゃんと綺麗にしてあげたいから」
起き上がった聖龍は、ひょいとヒカルを抱きかかえた。
恥ずかしそうに頬を赤くするヒカルを見て、可愛いと思った聖龍。
そのまま2人でお風呂に行った。
給湯式のお風呂はすぐにお湯が出て、浴槽にも貯める事が出来る。
お湯が溜まる間、聖龍は丁寧にヒカルの頭や体を洗ってくれた。
ヒカルは恥ずかしくて、どこを見たらいいのか判らない顔をしていたが、自分が洗ってもらった後には聖龍の体を洗ってあげた。
お湯が溜まると、2人で一緒に浴槽につかり体を温める事にした。
「ごめんね、怪我が治ったばかりで無理させちゃったかな? 」
「大丈夫です…。思ったより、治りも早いので」
「良かった。ねぇ、この後なんだけど。夕飯食べに行かない? 」
「外食は…あまりなれていませんので…」
「そうなんだ。でも気にしなくていいよ、そんな畏まった場所に行くわけじゃないから」
「はい…」
「これから、2人で沢山思いで作ればいいじゃないか」
「そうですね…」
ギュッと抱きしめて来た聖龍。
お湯の中で抱きしめられると、また感覚が違う…。
でも、とても心地良くて安心する聖龍の腕の中。
こんな事になるなんて、ヒカルにとっては予想外だった。