夜這いのくまさん

4

卵がたくさんつまってこんがり焼いたホットサンドを籠の中に詰めていく。
キース様へのお礼は本当にこんなものでいいのだろうか。お土産に作り方を教わった紅茶のパウンドケーキを持っていこう、そう思い詰めていく。

歩いて2時間半、図書館には相変わらず難しそうな顔をしたキースはいた。後ろからとんとん、と肩を叩いた。もう正午は周っていて、今日はいい天気だ。青空が広がっていて、雨が降りそうにもない。

「お昼にしませんか?キース様」

「シェリー嬢、本当に作ってくれたのか?」

「お礼ですから」

「ありがとう」

無料開放しているテラス席があり、そちらは飲食OKで持ち込みも可だった。青色と白色のパラソルと白く塗られた木のテーブルは実に爽やかだった。
並ぶようにして座り、籠から大きな卵サンドを取り出した。彼は目を輝かせて、頬張った。

「おいしい、卵もおいしいけどソースもおいしい」

「マスタードときゅうりをあえているのよ。食べやすいかと思って」

「さっぱりわからんがおいしい」

潔すぎる回答が不意打ちすぎて、けらけらと笑った。
口の端に黄色いソースがついていて、思わずハンカチで拭ってやった。まるで大きな子どもだ。彼は恥かしそうに顔をしかめて「…ありがとう」と照れた。
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