夜這いのくまさん
うわああああああああああ、鬼がいる!!
ひぃ、助けて……!!
村のもんじゃねぇ、誰だ、騎士!?なんでこんなところに!!
外がなにやら物騒に騒いでいる。首をしめるのと、首に回してキスをするのもピタリと動きが止まった。阿鼻叫喚に夜這いにきた男たちの悲鳴が聞こえる。私はその鍵がかかっている扉を浅い息をしながら見つめていた。脈がどくどくと音を立てているのがわかる。
数分後、外はしん…と静まった。
がちゃがちゃと鍵を外される音がやけに響いた。アーレットも呆然と同じ方向を見ていた。
開かれた扉がキーーーと音をたてる。大きな黒い陰が私たちを見下ろした。
見たこともない獰猛な瞳を携えて。
「夜這いに、もとい攫いにきた。シェリー」