夜這いのくまさん

8


そういうなりキースは馬乗りになっているアーレットを投げ飛ばした。
首を絞められていたので、アーレットがいなくなったことでいきなりたくさんの酸素が肺に入り込んできて思わずせき込んだ。

アーレットは壁に打ち付けられ、身体が痛さでびくびくと震えていた。顔を上げ、キースを睨みつけて吐き捨てた。

「あの時の男だな!!振られたくせになんて執念深い糞男め!!」

「執念深い糞男は認めるが抵抗できない女の首を絞める男よりマシだ」

そういって、アーレットの鳩尾に蹴りをいれる。アーレットはなにかを吐き出しながら、ぐっとおなかをおさえて蹲った。
シェリーには見せたことのない凶暴な姿に、シェリーは震えあがっていた。

「ここに来る前、シャーレイという娘に会ってな。道案内をしてくれた。いやあ、村の男が一様にぎらついた野良猫のように盛っていて、なにかに憑りつかれたんじゃないかと思った。彼女にきくと、ここでシェリーが夫でない男に抱かれるからその座を狙っていると。男の俺でもおぞましい。お前らのやっていることは鬼畜の所業だ」

ふー---と長い溜息のような息を吐いて。

「楽しかったか?いままで。お前は見たところまだ、シェリーより若いと思うが村の男どもの酒の肴に女の体を詰っていたことを武勇伝のように語っていたのだろう?お前の父や近所のオッサンたちが。それを見てそういうものだと思って接してきたのだろう。なあ、楽しかったかってきいてるんだ」

今にも怒りが噴き出しそうなほどの低い唸り声のような問いかけだった。
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