とある公爵令嬢の華麗なる遊戯〜私、絶対に婚約破棄してみせます〜
「ふーん…。私もあなたの友達が言った案が1番手っ取り早いとは思うわよ?"相手に嫌われる"もしくは"他に男をつくる"か」
「やっぱり、そうなってくるわよね…」
私の説明を最後まで聞いたアンは、少し考え込みながらもそう返答する。
「そうねぇ…。例えば、誰かに偽の恋人になってもらうとかどう…?そうだわ!男だったら騎士団にたくさんいるし、そこに協力してもらうとか」
「え、いや。そこまで迷惑はかけられないわ」
というか、騎士団の顔見知りに恋人役を頼むのは、ちょっと…ね。
「良い案だと思うけどね〜」と、つまらなさそうにぼやくアンはテーブルに頬杖をつくと、小さなため息をこぼす。
「あぁ…。誰かいないかしらね〜。若くてそれなりに見た目が整ってて、フローラに協力してくれる人〜」
若干、語気を強めつつ、まるで誰かにアピールするように口を開いた彼女に私は苦笑いを浮かべた。
そんな簡単に見つかったら苦労はしない。
それに、"偽の恋人役"なんてやりたがる人がいるわけ…。
「あのさ、俺で良ければ手伝うよ」
「え…?」