とある公爵令嬢の華麗なる遊戯〜私、絶対に婚約破棄してみせます〜
思わず口に出てしまった私の驚きの声。
それもそのはず、だって今、名乗りをあげたのが同じテーブルを囲んでいるキースだったから。
「…えっと、流石にそういうわけには…」
"いかないわ"と私が言い終わる前に。
「ふふふ。いいんじゃな〜い?キースだったら顔立ちも整ってるし、剣の腕もまぁまぁだしね」
満面の笑みで言ってのけるアンに私は絶句する。
もしかして、さっきわざとアピールするように言ってたのって、キースに協力させるためだったの?
昔から正義感が人一倍強いキース。
おそらく、初対面の相手とはいえ、アンの友達が困っているのを放っておけなかったのだろう。
なんだか、強制してしまったみたいで私が居たたまれなくなっていると。
キースは「まぁまぁは余計だ」とアンをひと睨みしつつ、視線を私へと移した。
「あのさ、一応言っとくけど、アンに言われたからじゃないから。俺が…フローラの話を聞いて、協力したいって思っただけで…」