とある公爵令嬢の華麗なる遊戯〜私、絶対に婚約破棄してみせます〜
アリシアは確か、今年で4歳になる。
その姿は、幼少期のオフィーリアお姉様と瓜二つといっても過言ではなかった。
小さい手で、ギュッと自分のドレスの裾を掴む姿はまるで妖精のよう。
「あらあら、アリシアったらどうしたの?泣いてちゃわからないわ。ほら、フローラお姉様もいらっしゃってるのよ、可愛い笑顔を見せてちょうだい」
パタパタと駆け寄ってくる娘を抱きとめ、優しく声をかけるオフィーリアお姉様。
「…これ、ママにあげようとしてたの落としちゃった、そしたらね、ちょっと割れちゃったの…。フローラちゃんにも見せようと思ってたのに…」
アリシアは、そう呟くと手に握りしめていた小さな石のようなものをお姉様に見せる。
「まぁ、そうだったの。でも、十分綺麗よ。アリシア、ほらフローラお姉様にも見せてあげて?」
「…うん」
オフィーリアお姉様の言いつけ通り、アリシアはトコトコと私の方に駆けてくると、
「フローラちゃん、見て。綺麗な石だよ〜」
さっきまで泣いていたのが嘘のような笑顔で私に抱きついてきた。