とある公爵令嬢の華麗なる遊戯〜私、絶対に婚約破棄してみせます〜
「…束縛する男性はモテませんよ?」
「しつこい男性こそモテないのでは?」
おぉ…!キースもやるわね。
思っていた以上にロイに食って掛かっている彼に私は内心目を見開く。
しかし、お互い微笑み合っているものの、なんだか黒いオーラが背後に見えた気がして、私は小さく息を呑んだ。
「へぇ…。貴方、名前は?」
「…ナイトです。申し訳ないですけど、彼女とは恋仲ですので邪魔はしないで頂きたい」
私の肩を抱き、自分の方に寄せたキースに思わずドキンと胸が高鳴る。
まぁ…!キースったら迫真の演技ね。
思わず、トキメいてしまうくらい真に迫った彼の表情に、会場の他の招待客もチラチラと私達の様子を伺っているのが伝わってきた。
しかし、これでロイにも伝わったはず。
私には他に意中の相手がいて、貴方とは婚約する気はないのだと言うことを。
「わかりました…。とりあえず、この場は私が引きましょう。それではお二方、良い夜を」
「…っ」
最後に私の髪をサラッと掬い上げ、チュッと口づけを落とす彼に私は絶句する。