とある公爵令嬢の華麗なる遊戯〜私、絶対に婚約破棄してみせます〜
ギュッと拳を握りしめ、私は小さく息を吐く。
人目を避けつつ会場の外に出てみると、建物内と比べかなり静かなことに気がついた。
ちょうど舞踏会も盛り上がってる所だし、皆、邸宅内にいるのだろう。
…それにしても、外で待ってるってどこにいるの?
私がキョロキョロと辺りを見回し、ロイの姿を探していると。
「へぇ。ちゃんと来たんですね。来ないかと思いましたよ。キャンベル公爵令嬢」
ドキッ。
屋敷の外の木の陰から、姿を現したのは銀仮面を外したロイだった。
「あら?貴方が私に声をかけたのでしょう?一応、公爵様は、まだ私の婚約者ですもの。お誘いを断るわけにもいかないので」
気配もなく出てきたロイに内心、驚きつつも、それを悟られないよう私は毅然とした態度で笑顔を向ける。
「…それにしても、さっきの彼が君の婚約破棄したい理由かい?まさか、舞踏会に婚約者以外の男性を連れてくるとはね…。さすがの私も驚いた」
クスクスと、楽しげに笑うロイ。
全然、驚いたって感じじゃないくせに。