とある公爵令嬢の華麗なる遊戯〜私、絶対に婚約破棄してみせます〜


「口で説明するより、早いかと思いまして。それに、シェラード公爵様もたくさんのご令嬢の注目を集めてましたし。私じゃなくても、きっと他に素敵なお相手がいると思います」

ニコリと淑女の笑みを浮かべ、私も負けじと言い返す。

つまり、"わざわざ拒否してる相手じゃなくて、受け入れてくれる相手を探した方が手っ取り早いですよ"という意味だ。

「前も言いましたよね?どこぞのつまらない令嬢よりも貴女と結婚したほうが楽しそうだって」

はぁ〜?
だから、"楽しそう"ってなんなわけ?
こっちは、迷惑だって遠回しに言ってるのに…!

思わず口が悪くなってしまいそうになるのをどうにか堪える私。

「…えっと。公爵様が私のことを評価してくださってるのは、とても光栄なのですが…。実際、私なんか何も面白みもないつまらない人間ですし。シェラード公爵様なら他にもっと素敵な方が…」

"いらっしゃいます"と口に出そうとした時だった。

「男装して騎士団に所属している公爵令嬢以上に面白い女性なんていないと思いませんか?」

今…なんて?

一瞬、思考が停止する。

そして、ロイの口から出た言葉の意味を理解した時、サーッと血の気が引いていくのがわかった。

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