とある公爵令嬢の華麗なる遊戯〜私、絶対に婚約破棄してみせます〜
確かにロイ自身、身分を隠して騎士団に所属をしていたし、境遇としては私と似てるのかもしれない。
「そう…。貴方が私の剣技を認めてくれていたのは理解したわ。でも…。結局、今回の婚約はどういうつもりだったの?シェラード公爵邸で私に会った時には気づいていたのでしょう?」
「それは…」
そう何か言いかけて、ロイは途中で口をつぐんだ。
何を言い淀んでるの…?
不思議に思って、首を捻る私に向かって。
「というか、そっちこそ、今日の舞踏会にまさかキースを連れてくるとは思わなかったよ。それでキースは、フローラの正体を知ってるの?」
さらっと話をすり替えるロイ。
そして。
「さすがにいくら仮面で顔を隠していても、髪色や背格好で、気づくからね」
クスリと不敵に微笑みながらロイは、言葉を付け加えた。
「キースは、私がフロイドってことは知らないわ。あぁ、もう。こっちも色々あったのよ。キースには、話すタイミングを逃しちゃった……って!話をすり替えないで。今、私が聞いてるのは…」