とある公爵令嬢の華麗なる遊戯〜私、絶対に婚約破棄してみせます〜
私が話をはぐらかすロイを諌めようとした時。
ガサッ。
背後から、誰かの草を踏む音が聞こえ、私はハッとして音のする方を振り返る。
「今の話、どういうことだ?」
私のことを探しに来たのだろう。
私とロイを交互に見つめるキースの姿を視界にとらえ、私は目を見開いた。
キース、いつからそこに…?
私とロイの話、どこから聞いていたの?
サーッと血の気が引くのを感じ、私は一瞬、頭が真っ白になる。
「ナイト様のお出ましだね」
クスッと意味深に微笑むロイ。
「お前がシェス?そして、フローラがフロイドって…。どういう状況だよ、これ」
全部聞かれてるし…。
「あのね、キース…」
「今、お前が聞いた通りだよ。キース。俺は貴族で、騎士団ではシェスと言う偽名を使っていた。そして、彼女はフロイドとして騎士団に所属していたんだ」
…!?
言葉を選びながら、キースに説明しようとした私よりも数秒早く、サラッとそう答えたロイに私は目を剥いた。