とある公爵令嬢の華麗なる遊戯〜私、絶対に婚約破棄してみせます〜
ちょっと…!
もう少し上手い説明の仕方があるでしょう!
あまりにもストレートなロイの物言いに対して、そう言ってやりたかったが、グッと堪える。
だって、私に彼を否定する権利はない。
キースに嘘をついていたのは紛れもない事実なのだから。
「ハハッ…。なんだよそれ。2人して俺のことずっと騙してたってわけ?」
「違っ…」
キースの乾いた笑い声に私はズキンと胸が痛む。
「キース、あの…」
「ゴメン。悪いけど、今日のところは俺帰るよ。今、冷静になれないからひどい言葉を言ってしまいそうだし」
「…っ」
それだけ告げて、くるりと踵を返したキースは私とロイに背を向けて邸宅へと1人戻って行く。
そんな彼の後ろ姿に声をかけたかったが、何を言っても言い訳にしかならない気がして、私は去っていくキースを見送ることしかできなかった。
やっぱり、私の考えが浅はかだったわ。
こうなる可能性がゼロじゃないことは初めからわかってたじゃない。それなのに…。
善意から手伝ってくれたキースを傷つけてしまった。