とある公爵令嬢の華麗なる遊戯〜私、絶対に婚約破棄してみせます〜
「冗談言ってる場合じゃなくて…。今はキースの誤解をはやく解かないと!」
ロイから掴まれた手を振り払おうと躍起になり、力いっぱい抵抗してはみるものの、男性の力にかなうはずもなく…。
「ちょっと、いい加減にしてってば!あなただって、キースに誤解されたままじゃ嫌でしょう?」
そこまで言うと、ようやくロイは私の手首をパッと離した。
掴まれていた手首をさする私に向かって。
「あのさ。ずっと気になってたんだけど、フローラはキースのことどう思ってる?」
…はぁ?
突然、論点がズレた質問をしてくる彼に私はポカンとした表情を浮かべる。
「どうって…仲間でしょ?」
"意味がわからない"と言うように、私はコテンと首を傾げた。
そんな私をジッと見つめ、ロイは小さく肩を落とす。
そして。
「……まぁ、そうだね」
と、なぜか残念な者でも見るような視線を送ってきた。
「何?私、なんか変なこと言った…?」
「いや、変な質問した俺がバカだった。てか、さっきのキースの態度見て、何も気づかなかった?」
「態度…?特にはなにも。そんなことより、私達が正体を隠していたことにショック受けてたし…。今日の舞踏会だって、私の恋人役として善意で私に協力してくれてたのに騙したかたちになっちゃった」
「善意ねぇ…」