とある公爵令嬢の華麗なる遊戯〜私、絶対に婚約破棄してみせます〜
**第9幕**騎士団の皆へ真実を伝えます
「〜っ!?ちょっと、私が一生懸命、侍女の仕事をしている間に何でそんなに面倒なことに…。しかも、ロイ・シェラード公爵がシェスで…。どうしよう。私、頭がついていかないんだけど」
あまりに私の話が衝撃的だったのか、これでもかと言うくらい大きく目を見開いたアンは「あはは」と苦笑いを浮かべている。
「でも、なるほどね…。昨日、会場に戻ってきたと思ったらすぐ帰ろうだなんていうから何事かと思ったけど…。キースは先に1人で帰っちゃうし…」
「…ゴメンね。アン。変なことに巻き込んだ上に、なんか最悪な形でキースにバレちゃったし。それに、ロイのことも黙っててごめんなさい」
仮面舞踏会から一夜明けた翌日。
私はキャンベル公爵家の自分の部屋で、昨夜の出来事を全てアンに説明していた。
結局、昨日は私もその場に居づらくて、早めに舞踏会を切り上げることにしたのだが…。
『あれ?フローラ…。キー…じゃなかった、ナイトはどうしたの?』
状況が全くつかめていないアンは、コソッと私に尋ね、1人首をかしげていて。
『…とりあえず、帰りながら説明するわ。帰りも遅いし。よかったら今日は、私の家に泊まっていって?』
どうせ、アンには全てを話すつもりだったから、ゆっくり話をする場所を作るためにもそんな提案をした私。
『え…!?今日、泊まっちゃっていいの!?わぁ〜。フローラの家行くの楽しみー!』
と、最初はルンルン気分で馬車に乗り込んだ彼女も。
実際、キャンベル公爵家を見た時は、開いた口が塞がらなかったみたい。
『…冗談でしょ…?キャンベル公爵家…。アハハ、フローラがキャンベル公爵令嬢ってこと??』
私に「こっちに来て」と促されるまで、屋敷を見上げてポカンと立ち尽くすことしかできないでいたしね。