とある公爵令嬢の華麗なる遊戯〜私、絶対に婚約破棄してみせます〜
本当に彼の言う通りだと思う。

私だってキースの立場なら、貴族社会のことなんて理解できるはずがない。

というか、そもそも貴族として生まれた私でさえ、この昔ながらのお硬い考えには匙を投げてしまいたいくらいなのだから。

「……」

「……」

その後、しばらくは誰も口を開かず、重い沈黙が流れた。

そんな中。

「ま、とにかくさ。婚約だのの話はちょっと置いておくとして…。フローラもシェスも今後はどう考えているか話を聞かせてくれないか?……2人は騎士団の活動は、どうしていきたい?」

と私とロイに向かってハロルドが真剣な表情で尋ねてくる。

団長として当然の質問だ。
特にロイは副団長。
一般団員の私とは違う立ち位置にいるわけで…。

ハロルドとしても、腕のたつロイが抜けるのは痛いに違いなかった。

「…俺としては、このまま騎士団は続けていきたいと思ってる。シェラード公爵家としても、街の治安に直結する騎士団からの情報は有意義なんだ。もちろん、団長達が良ければの話だけどね」

「そうか…。シェスほど腕のたつ者もそういないから騎士団としては願ったり叶ったりだよ」

ホッとした表情のハロルドに対してロイはクスリと笑みをこぼす。

「まぁ、そもそも俺が加入する前は、シェラード公爵家の従者に加入してもらってたんだけど」

「…え?」
< 167 / 173 >

この作品をシェア

pagetop