とある公爵令嬢の華麗なる遊戯〜私、絶対に婚約破棄してみせます〜
「ジャックがシェラード家の従者…?いつから…」
ポツリと自分に聞こえるくらいの小さな声で呟いたつもりだったのに。
「初めからですよ、フローラ嬢。俺がこの騎士団に加入したのもロイ様の指示ですから。では改めまして、シェラード公爵家で、ロイ様付き従者のジャック・フォスターと申します」
ニコッと微笑み、恭しくお辞儀をするジャック。
フォスターというと、シェラード公爵家の遠縁にあたるフォスター男爵家と関係があるのだろうか?
そんな疑問が頭に浮かんできて、内心首をひねっていると。
「…お察しの通り、俺はフォスター男爵家の三男ですよ。三男ということで、フォスター家を継ぐわけでもなく、手持ちぶさたな生活をしてた時にロイ様に拾われたって感じですね」
…!?
まるで、心でも読んだかのように私の疑問に対する答えを言い当てる彼に驚愕の視線を向けた。
「別に魔法使いじゃあるまいし、心が読めるわけじゃないですよ。ただ、俺、こういう観察眼優れてるんで。相手の視線や息遣いなんかで、だいたい考えてることが手に取るようにわかる」
ジャックはそう言うと、私、ハロルド、キースを順番に見つめ、クスッと笑みをこぼす。
「にしても…。ハハッ。団長はあいかわらず顔に出過ぎ。もう少し押さえないと何でも考えてることダダ漏れですよ?」
いつもの調子でハロルドをからかうジャックは、楽しそうにニヤリとほくそ笑んだ。