とある公爵令嬢の華麗なる遊戯〜私、絶対に婚約破棄してみせます〜
「…っ!ダダ漏れって。誰だってお前がシェスの従者だなんて言われたらこんな顔になるわ!!」
ハロルドにツッコまれ、ケラケラと笑うジャック。
そして。
「で、キースは…。へぇ、昔より感情抑える技術身についてんじゃん?えらい、えらい。それでこそ騎士団員」
次の標的にキースを選んだ彼はヒューッと驚いたように口笛を吹く。
「……」
たしかに私から見ても、感情が読み取れない。
ほぼ無表情のキースは、探るようにジッとジャックから視線をそらさない。
「でもな、俺からするとまだまだ甘い!つか、そもそもお前の場合は、別の気持ちがダダ漏れすぎてなぁ…。とりあえず年上のお兄さんからのアドバイスとしては良い恋しろよってことだ」
「なっ…」
…??
先ほどまで無表情だったキースの目がカッと見開かれ、心底嫌そうに眉をひそめていた。
何かジャックに痛い所をつかれたのだろうか。
そんな彼等のやり取りに私が首を傾げていると。
「ジャック、あまりキースをからかってやるな」
ロイがジャックをたしなめる。
「はいはい。ロイ様の仰せのとおりにっと。で、一応今後の確認なんですけど俺はこのまま騎士団所属ってことでかまわないですかね?結構気に入ってるんですよ、俺」
ニコリと笑みを携え、ロイを見つめるジャック。