とある公爵令嬢の華麗なる遊戯〜私、絶対に婚約破棄してみせます〜
「俺はそれで構わないけど、騎士団の責任者は俺じゃないからなぁ…」
その言葉とともに、ロイとジャックの視線がハロルドに移った。
「ぐっ…」
2人に見つめられ、ハロルドの口角がどんどん引きつっていく。
しかし、最終的には。
「…っあぁ〜…はいはい。わかってる!シェスにもジャックにも今まで通り騎士団のメンバーとして働いてもらうつもりだ。他の団員にもそう伝えておく、以上解散!」
そう言ってのけたハロルドの言葉で、この場はいったん収束をみせた。
「ったく、俺が団長の時にあんまり揉め事起こさないでくれよ、頼むから…」
ブツブツと小言を言うハロルドを尻目に、ロイとキースは素知らぬ顔で立ち上がる。
私も2人にならい、そのまま席を立ったのだが…。
「…あの、団長。迷惑かけてごめんなさい」
くるっとハロルドの方を向き、最後に深々と頭を下げた。
一瞬、驚いた表情で私を見つめたハロルドだったが、次の瞬間、フッと小さく笑みをこぼす。
「フローラ、一応言っとくけど。お前も今まで通り騎士団のメンバーなんだからな。今後もよろしく頼むよ。異論は俺が認めん」
「…っ。ありがとう、団長」
投げかけられた優しい言葉にジンと胸が熱くなる。