とある公爵令嬢の華麗なる遊戯〜私、絶対に婚約破棄してみせます〜


たぶん、彼女にとってはただの暇潰しの提案だったのだろう。


「変装するってことね!いいわね、楽しそう!」

「でしょ?そうこなくっちゃ!」


私も最初は、ちょっとした遊びのつもりだったから。


「ミリア、でも男装ってどうするの…?」


「うふふ。任せて!実はねこっそりお兄様達の昔の服とか拝借してきたんだ〜」


そう言って、衣装ダンスの中から男物の服を取り出したミリアはパチっと私に向かってウインクをする。


彼女には、歳の離れた兄が二人おり、おそらく今、持ってきたものは彼等の昔着ていた服なのだろう。


「さ、フローラはこっちを着てみて」


「うん」


ミリアに差し出された服に袖を通すと、いつも着ている華やかなドレスとは違うからか、少しだけワクワクしている自分がいる。


「後は髪型とかちょっと変えれば…ほら、男の子みたいじゃない?」


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