とある公爵令嬢の華麗なる遊戯〜私、絶対に婚約破棄してみせます〜
――カンッ、キンッ!
…っ、やっぱりなかなかやるわね。
試合開始と同時に間合いを詰めてきたキースは、軽い身のこなしですぐさま私の懐に入り込もうとする。
そんな彼の動きを嫌って、私は後ろに下がって距離をとった。
「へぇ。思ったより素早いじゃん。でも、俺のが上だね」
クスッと面白そうに笑い、再度間合いを詰めようとするキース。
確かにキースの言う通り、素早さや身のこなしは彼のほうが若干上。
それに体力面を考えても、私のほうが分が悪いのはわかっていた。
でもね…。
剣の技術だけは男の子に負けないように頑張ってきたんだから…!
キンッ!
「…な」
私の渾身の一振りがキースの握っていた剣を柄を正確に捉えた。
彼の手から剣が離れ、地面に落下した瞬間。
「勝負あり…!フロイドの勝ち」
と、ハロルドの声が闘技場に響き渡る。
「おぉ…!坊主、やるじゃねぇか!!」
「剣速だけなら、シェスとどっこいじゃねぇか?」
周りの騎士団員たちのそんな会話が聞こえ、私も小さく息をついた。