とある公爵令嬢の華麗なる遊戯〜私、絶対に婚約破棄してみせます〜
「ちょっと…言い過ぎたかな?」
「いや…?キースはあれくらいがちょうどいいよ。どうせ、明日にはケロッとしてる」
去って行くキースを気にして、口を開いた私に対してシェスは、あっけらかんとそう言い放った。
…確かに、シェスの言う通りかもね。
そう納得し、私はシェスに向き直る。
「ハロルド団長はいる?」
「…ハロルドはまだ帰ってきてないけど…俺で間に合う用事なら話くらい聞くよ?」
「あぁ…そうか。いや、また今度でいいや。ありがとう」
シェスが副団長になるのと同時に、団長となったのは元副団長のハロルド。
「何?俺には言えない話…?」
ジッと私の顔を見つめるシェスに思わずドキッと胸が高鳴る。
その綺麗な漆黒の瞳は何でも見透かしているようで、昔から緊張してしまうのだ。
「いや、ちょっと勤務時間の相談っていうか…団長か事務のアンがいいかなって…」
あははと、笑いつつ当たり障りない理由を述べると「ふーん…それくらいだったら俺でもいいよね?」とシェスは口を開く。