とある公爵令嬢の華麗なる遊戯〜私、絶対に婚約破棄してみせます〜
「そう落ち込むなよ。もう少し技術が上がればシェスにも勝てるポテンシャルはあると思う」
「そう思うか…?」
「うん。まぁ、あと5年くらいは勝てなさそうだけど…」
「…持ち上げといて落とすなよな」
ジトッとした視線で私を見つめるキース。
実際の所、5年もかかるかは彼次第なんだけどね。
ここ数年で基礎体力も向上し、メキメキと力をつけてきているのは事実。
だからこそ、私はキースならいつかシェスにも引けをとらないくらい強くなると本気で思っていた。
まぁ、あんまり褒めると調子に乗りそうだから言わないけどね。
「あ…!そうだ。良い忘れてた。キース…僕、しばらく騎士団に顔出せないから!あとよろしく」
「はぁ〜?フロイド最近付き合い悪いぞ」
「悪くない、悪くない。つか、しょうがないだろ?家業が忙しいんだ」
「う…。それならしょうがないけどさ。でも、練習くらいたまには来いよ。お前いないとつまんないし…。それに、勝ち逃げは許さないからな」
気恥ずかしくなったのか、そっぽを向きつつ言葉を紡ぐキース。
まったく、素直じゃないんだから…。
そんな彼の背中を軽く叩き「あぁ、早く終わらせてまた顔出すよ」と私は優しく声をかけたのだった――。