とある公爵令嬢の華麗なる遊戯〜私、絶対に婚約破棄してみせます〜

幼少期から引き篭もりだと言うし、誰も姿を見たことないなんて言う噂もあながち間違えではないのかもしれない。

そんなことを考えていた時、コンコンと、優しいノックの音が聞こえ、私は思わず身構えた。

…いよいよ、引き篭もり公爵の登場ってわね。

緊張からかゴクリと息を呑む。

しかし、入室してきた人物の姿を見て私は違う意味で驚いてしまった。

「失礼…弟の婚約者殿のご尊顔をこの目で見たくて…。貴女がキャンベル公爵令嬢だね。お噂はかねがね。はじめまして…かな?シェラード家当主のハリス・シェラードです」

そう言って、フレンドリーに声をかけてくれたのはハリス・シェラード公爵。
若干、25歳にしてシェラード家現当主、そして、引き篭もり公爵のロイの実兄である。

「キャンベル家のフローラ・キャンベルです。シェラード公爵様、こちらからご挨拶に伺わなければならない所、申し訳ございません」

まさかハリス様から訪ねてくるとは予想外で、私は慌てて淑女の礼をとった。
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