とある公爵令嬢の華麗なる遊戯〜私、絶対に婚約破棄してみせます〜
今さら、ロイにも他の団員たちにも私がキャンベル公爵家のフローラ・キャンベルという事実を話す気はない。
両立が難しい時期がくれば、ひっそり退団しようと考えていたくらいだ。
婚約解消を切り出すなら、チャンスは二人きりの今しかないわ…!
そもそも、ロイだってキャンベル公爵家の後ろ盾が欲しくての婚約申し出だろうし。
私が婚約関係なしに事業協力をすれば問題ないはず。
そう考えた私は「あの…」と小さく彼に声をかけた。
「なんでしょう?キャンベル公爵令嬢」
「この度の婚約ですが、私としてはお断りさせて頂きたく思っております」
「…それは私が"引き篭もり公爵"だからですか?」
ジッと私を見据えるロイの視線をヒシヒシと感じつつ、私はそのまま言葉を紡ぐ。
「確かに…"引き篭もり公爵"との婚約に関しては私も懸念はしておりました。噂だけで判断してはいけないのはわかっておりますが、何分あまりにも情報がなかったものですから…」