Destiny

後日、親友の香奈とショッピングしている最中、翔好みの清楚系のワンピースやらを手に取って難しい顔をしている私を見かねて


「菜々、彼氏と付き合ってて楽しい?」
と、ずばり聞かれた。



「私は、菜々が菜々らしく笑っているのが好きだよ」



その言葉が胸に残った。


私らしく、か。



結局、清楚系のワンピースは購入しなかった。



ショッピングが一段落して、お茶をして、そろそろ解散か?という頃合いになった時、一軒の新しくオープンしたのであろう、とても私好みのアクセサリーショップを見つけた。


「香奈、ごめん。最後にここ入っていい?」


「もちろん良いよー」



店内はリングやネックレス、ピアスやイヤリングがセンス良くディスプレイされていて、どれも私の目を惹いたが、特に、シンプルながらも個性が光るピアスがとても気に入った。



あまりに熱心に見入っていたからか、香奈に「そのピアス、菜々に似合いそう。ピアス空けるの?」と聞かれてしまった。
「ううん、翔嫌がるし、やめとく……」と尻すぼみに答える。



「香奈、付き合ってくれてありがと、今日はもう帰ろっか!」


明るい声を出したつもりだけれど、私は笑えていただろうか。
香奈は少し悲しげに微笑みを浮かべ、帰って行った。



その日の夜、ベッドに入ってからも、翔の
“似合わないよ”という言葉と、香奈の
“菜々らしく”という言葉が延々と頭の中をループして、寝付けなかった。

< 2 / 5 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop