幸せの形
prologue
あれは、3年前のことだ。
「聡太、桜さん結婚おめでとう」
「ありがとう、莉子」
賑わう結婚式場の披露宴会場。
私はその中、主役の新郎新婦に挨拶をした。
表情は笑ってるけれど、心の中では喜べていない自分がいた。
新郎の朝倉聡太(あさくらそうた)は私の幼なじみ。そして、初恋の人だ。
それも気持ちも伝えられぬまま、こうして儚く散った恋だ。
幸せそうにしてる2人を目の前に無理に笑うけれども、本当はこのまま泣き出したいくらいだ。
でも私は彼の幼なじみ。
お祝いしなければならない。
「幸せにね」
「あぁ、お前も幸せなれよ」
この結婚式を機に私と聡太は会う事はなくなった。
聡太の奥さんと幸せそうにしてる姿を見たくなくて、実家に帰る時もなるべく聡太と会わないように避けた。
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