婚約者の浮気相手が子を授かったので
「この薬について調べて欲しい」
 テーブルの上に置かれたのは、薄い紙に包まれている何か。だが国王が「薬」と言ったことから、この紙を開けば薬が出てくるのだろう。
「調べる、というのは、出どこを探れという意味ですか? それとも薬の成分を?」
 エルランドは薬の包みを開きながら尋ねた。
「まずは、成分を分析して欲しい。『違法薬』や『違法薬草』が含まれていないか」
 薬は粉上のものが塊になっているものだった。だが、見た目は柔らかそうに見える。粉が劣化して固まった、そのような感じに見えた。指で触れれば、塊は粉になるのだろうと思われる。
 ファンヌもその薬を見るために、ぬぅっと首を伸ばしてきた。
「見たところ。いたって普通の薬のようですね。『違法薬』には見えません。この薬がどうかしたのでしょうか」
 ファンヌは見た目から判断したことを口にした。すると国王は腕を組む。
「そうか……」
「ですが。きちんと詳しい分析をしないことには、何とも言えませんが。ただ、見た目からはそうは見えない、ということです」
 ファンヌの言葉にエルランドも頷く。
「父上。この薬がどうかしたのですか?」
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