婚約者の浮気相手が子を授かったので
「ファンヌ。エルが首からぶら下げているそれに、薬が入っているから取り出してくれ」
「え?」
国王の言葉に、ファンヌはじっとエルランドを見つめる。彼はいつも、首から何かをぶら下げていた。ただの首飾りであると思っていたのだが。
「いや、駄目だ。ファンヌ。君は、エルから離れて」
「えっ?」
国王は立ち上がると、ファンヌの腕を引っ張り、エルランドの側から引き離す。
そしてエルランドの首飾りをごそごそと漁り、先ほど国王が口にした薬と思われるものを取り出した。
「エル……。抑制剤だ。飲め……」
「父上……」
こんな苦しそうなエルランドをファンヌは見たことがない。
「エルさん……」
ファンヌがエルランドに一歩近づくと、エルランドはまた顔をしかめ、国王の腕を掴んでいる手に力を込める。それはファンヌの位置から見てもわかった。
「誰か。ファンヌ嬢を別室へ連れて行け」
国王が声を張り上げれば、どこにいたのか騎士や侍女たちが現れた。ファンヌは侍女に手を引かれ、その部屋を出る。だが、背中から聞こえてくるエルランドの苦しそうな呻き声は、しっかりとファンヌの耳にも届いていた。
「え?」
国王の言葉に、ファンヌはじっとエルランドを見つめる。彼はいつも、首から何かをぶら下げていた。ただの首飾りであると思っていたのだが。
「いや、駄目だ。ファンヌ。君は、エルから離れて」
「えっ?」
国王は立ち上がると、ファンヌの腕を引っ張り、エルランドの側から引き離す。
そしてエルランドの首飾りをごそごそと漁り、先ほど国王が口にした薬と思われるものを取り出した。
「エル……。抑制剤だ。飲め……」
「父上……」
こんな苦しそうなエルランドをファンヌは見たことがない。
「エルさん……」
ファンヌがエルランドに一歩近づくと、エルランドはまた顔をしかめ、国王の腕を掴んでいる手に力を込める。それはファンヌの位置から見てもわかった。
「誰か。ファンヌ嬢を別室へ連れて行け」
国王が声を張り上げれば、どこにいたのか騎士や侍女たちが現れた。ファンヌは侍女に手を引かれ、その部屋を出る。だが、背中から聞こえてくるエルランドの苦しそうな呻き声は、しっかりとファンヌの耳にも届いていた。