婚約者の浮気相手が子を授かったので
ファンヌが侍女によって案内されたのは、サロンだ。いつもエリッサとお茶を飲み、エルランドを待っている場所。
「ファンヌ」
今日もエリッサがそこにいた。ファンヌの姿を見ると、ひらひらと嬉しそうに手を振っている。だが今日はエリッサの他に、もう一人誰かがいる。
王妃だ。
「ファンヌさん。驚かれたでしょう? こちらにいらっしゃい」
外光を取り入れる大きな窓がある明るい色調のサロン。いつもの場所で慣れた場所であるはずなのに、ファンヌの心の中には不安な気持ちがあった。それを察したのか、王妃が誘っている場所は、彼女の隣の席なのだ。
「失礼します」
気を抜けば震えそうになる身体に力を込め、クリーム色の花柄の刺繍がされたいつもの椅子にゆっくりと腰をおろす。
王妃が目配せをすると、侍女は慣れた手つきでお茶を淹れ、黙ってその場から離れる。
ベロテニアの白茶だ。繊細な甘みと香りが、カップから漂ってきた。
「エリッサ」
王妃が娘の名を口にすれば、エリッサは「はいはい」と言って席を立つ。
「ファンヌ、後でね。今は、お母さまがファンヌに大事な話があるっていうから」
彼女は明るくファンヌに声をかけ、サロンから出ていった。
「ファンヌ」
今日もエリッサがそこにいた。ファンヌの姿を見ると、ひらひらと嬉しそうに手を振っている。だが今日はエリッサの他に、もう一人誰かがいる。
王妃だ。
「ファンヌさん。驚かれたでしょう? こちらにいらっしゃい」
外光を取り入れる大きな窓がある明るい色調のサロン。いつもの場所で慣れた場所であるはずなのに、ファンヌの心の中には不安な気持ちがあった。それを察したのか、王妃が誘っている場所は、彼女の隣の席なのだ。
「失礼します」
気を抜けば震えそうになる身体に力を込め、クリーム色の花柄の刺繍がされたいつもの椅子にゆっくりと腰をおろす。
王妃が目配せをすると、侍女は慣れた手つきでお茶を淹れ、黙ってその場から離れる。
ベロテニアの白茶だ。繊細な甘みと香りが、カップから漂ってきた。
「エリッサ」
王妃が娘の名を口にすれば、エリッサは「はいはい」と言って席を立つ。
「ファンヌ、後でね。今は、お母さまがファンヌに大事な話があるっていうから」
彼女は明るくファンヌに声をかけ、サロンから出ていった。