婚約者の浮気相手が子を授かったので
第九章
 赤の天幕は食べ物を扱っている店。
 青の天幕は衣類を扱っている店。
 緑の天幕は日用品を扱っている店。
 黄の天幕は薬草やお茶を扱っている店。
 ベロテニア王国の王都ウロバト。天幕の色でそれぞれの店が扱っているものがわかる。
 色とりどりの天幕。
 それがウロバトの特徴だ。
 だけど、変な色の天幕があった。黄色のような赤色のような。意識しないとわからない天幕――。

◇◆◇◆

 ファンヌはオスモと共に研究室にいた。いつもはエルランドと共に研究を行うことが多く、彼以外の人と『薬』について研究することは新鮮な感じがした。
(違う……。不安なんだ……。私の()()()を認めてもらえるか)
 ファンヌとエルランドの間には信頼関係があった。
 ファンヌもオスモのことはエルランドの師とだけあって、信用はしている。だが、信頼はと問われると別問題である。
< 198 / 269 >

この作品をシェア

pagetop