婚約者の浮気相手が子を授かったので
そしてオスモはファンヌにカプセル錠の薬を手渡してきた。
「これがエルの抑制剤だ。ファンヌ嬢も持っておきなさい。エルは今まで十何年以上も獣化したことはなかった。だが、それが今起こった。つまり、これからエルに何が起こるかわからない。獣化が始まったら、無理にでもこの薬を飲ませなさい」
「もし、完全に獣化してしまったら?」
「それは私にもわからない。ここ何十年と完全に獣化した者はいない。獣化した後、エルの意識が保たれるのか、それとも失われるのかさえもわからない。わからないから、怖いんだ」
怖い。きっとそれはエルランドも同じだろう。彼の周りにいる人も。
だからあのとき、ファンヌを遠ざけたのだ。
「私。エルさんに会いたいのですが……」
「目を覚ませば大丈夫だ。ただ、会う前に彼の頭を確認しなさい」
「頭?」
「獣化が始まると、先に頭に耳が生えてくる。耳と尻尾が生えただけなら半獣化だ。それまでにこの薬を飲ませれば、獣化が止められるから」
「わかりました」
ファンヌはオスモの言葉に頷いた。
ファンヌはオスモと共に、エルランドが休んでいる部屋へと向かった。どうやら彼は客室にいるらしい。
「これがエルの抑制剤だ。ファンヌ嬢も持っておきなさい。エルは今まで十何年以上も獣化したことはなかった。だが、それが今起こった。つまり、これからエルに何が起こるかわからない。獣化が始まったら、無理にでもこの薬を飲ませなさい」
「もし、完全に獣化してしまったら?」
「それは私にもわからない。ここ何十年と完全に獣化した者はいない。獣化した後、エルの意識が保たれるのか、それとも失われるのかさえもわからない。わからないから、怖いんだ」
怖い。きっとそれはエルランドも同じだろう。彼の周りにいる人も。
だからあのとき、ファンヌを遠ざけたのだ。
「私。エルさんに会いたいのですが……」
「目を覚ませば大丈夫だ。ただ、会う前に彼の頭を確認しなさい」
「頭?」
「獣化が始まると、先に頭に耳が生えてくる。耳と尻尾が生えただけなら半獣化だ。それまでにこの薬を飲ませれば、獣化が止められるから」
「わかりました」
ファンヌはオスモの言葉に頷いた。
ファンヌはオスモと共に、エルランドが休んでいる部屋へと向かった。どうやら彼は客室にいるらしい。