婚約者の浮気相手が子を授かったので
エルランドはしっかりとした足取りで寝台からおりた。
「エルさん、帰りましょう。ですがその前に、みなさんにご挨拶してから」
エルランドに関わる全ての人たちが、彼のことを心配していたのだ。あのエリッサでさえ「エル兄さま、大丈夫かしら。エル兄さま、大丈夫かしら」と何度も呟いていた。だが、エリッサ本人は無意識のようであった。
皆がエルランドのことを気にかけ、愛してくれている。それがファンヌにとって誇らしく思えた。
関係各所に顔を出した二人は、最後にオスモの『調薬室』を訪れた。オスモは薬草の在庫を確認しているとこだった。
「師匠。迷惑をかけたみたいで……」
「エルが私に迷惑をかけるのは、今に始まったことではないだろう? 君がリヴァスに行くまでは、よく変な草や薬を口に含んでは、蕁麻疹やら腹痛やらを起こして、何かしらやらかしていたではないか」
ファンヌはエルランドに機械的に顔を向けた。どこかでも聞いたことのある話である。
当のエルランドは顔中が茹で上がったかのように赤く染め上げ、口元を手で覆っていた。
「エル。今日のようなこともあるのだから、あまり知らない薬を口にしないように気をつけなさい」
オスモの言葉にエルランドは小さく「わかっています」とだけ返す。
「エルさん、帰りましょう。ですがその前に、みなさんにご挨拶してから」
エルランドに関わる全ての人たちが、彼のことを心配していたのだ。あのエリッサでさえ「エル兄さま、大丈夫かしら。エル兄さま、大丈夫かしら」と何度も呟いていた。だが、エリッサ本人は無意識のようであった。
皆がエルランドのことを気にかけ、愛してくれている。それがファンヌにとって誇らしく思えた。
関係各所に顔を出した二人は、最後にオスモの『調薬室』を訪れた。オスモは薬草の在庫を確認しているとこだった。
「師匠。迷惑をかけたみたいで……」
「エルが私に迷惑をかけるのは、今に始まったことではないだろう? 君がリヴァスに行くまでは、よく変な草や薬を口に含んでは、蕁麻疹やら腹痛やらを起こして、何かしらやらかしていたではないか」
ファンヌはエルランドに機械的に顔を向けた。どこかでも聞いたことのある話である。
当のエルランドは顔中が茹で上がったかのように赤く染め上げ、口元を手で覆っていた。
「エル。今日のようなこともあるのだから、あまり知らない薬を口にしないように気をつけなさい」
オスモの言葉にエルランドは小さく「わかっています」とだけ返す。