婚約者の浮気相手が子を授かったので
「だったら、側妃として娶れ。正妃はファンヌだ。あれ以上、王妃に相応しい女性はいない。……、お前たち。今すぐ医務室へ行き、オグレン侯爵を呼んでこい。クラウス、お前はしばらくこの部屋で謹慎していろ。今回の婚約解消の件が解決するまで、この部屋から出ることは許さない」
ドスンドスンと歩く国王は、見るからに怒っていた。
「陛下、失礼します」
玉座に落ち着いた国王の前に、膝をついた臣下がいた。彼は外遊に同行した者のうちの一人であり、国王も信頼を寄せている臣下の一人でもある。
「オグレン侯爵は、王宮医療魔術師を辞しておりました」
「息子もいるだろう。見習いだ」
「息子も同様に」
「夫人はどうした。あれは調薬師だったはず」
「夫人もです。オグレン侯爵一族は、この王都パドマから既に出ていったとのことです。恐らく、領地に戻ったのでは、とのこと」
国王は両手を握りしめ、ふるふると震えている。
王妃が、不安げにその様子を見ている。
「肝心のファンヌはどうした。領地に戻ったのであれば、連れ戻してこい」
「ファンヌ嬢は……」
ドスンドスンと歩く国王は、見るからに怒っていた。
「陛下、失礼します」
玉座に落ち着いた国王の前に、膝をついた臣下がいた。彼は外遊に同行した者のうちの一人であり、国王も信頼を寄せている臣下の一人でもある。
「オグレン侯爵は、王宮医療魔術師を辞しておりました」
「息子もいるだろう。見習いだ」
「息子も同様に」
「夫人はどうした。あれは調薬師だったはず」
「夫人もです。オグレン侯爵一族は、この王都パドマから既に出ていったとのことです。恐らく、領地に戻ったのでは、とのこと」
国王は両手を握りしめ、ふるふると震えている。
王妃が、不安げにその様子を見ている。
「肝心のファンヌはどうした。領地に戻ったのであれば、連れ戻してこい」
「ファンヌ嬢は……」