婚約者の浮気相手が子を授かったので
二人は王宮の敷地を出て、神殿へと向かった。隣の敷地であるため、歩いて行ける距離でもある。
二人で最後に歩きたいとファンヌは口にした。
ファンヌの隣にいるのは王太子だ。恐らく、ファンヌの気付かぬところに彼の護衛はいるのだろう。
つまり、クラウスと一緒になるとは、そういうこと。どこからか誰かから見張られている世界。それを考えるだけでも、ファンヌは息が詰まりそうになっていた。
妊娠初期であるアデラは、部屋で休んでいると言った。その部屋も、彼女の妊娠がわかってから、クラウスが用意したものらしい。
残念ながらファンヌは、王宮に専用の部屋を持っていない。
ファンヌがクラウスと共に神殿を訪れ、神官長に書類を手渡すと、彼は驚いたように口を開けた。だが、すぐに平静を装い、書類を受け取る。
「神の名の元に、お二人の婚約は解消されました」
ファンヌは恭しく頭を下げ、神官長の元を去る。
神殿から外に出た途端、ファンヌは青い空に向かって両手を大きく上げ、伸びた。
「クラウス様。今までお世話になりました。私が受けておりました王太子妃教育も、本日で終了です。どうかアデラ様とお幸せに」
二人で最後に歩きたいとファンヌは口にした。
ファンヌの隣にいるのは王太子だ。恐らく、ファンヌの気付かぬところに彼の護衛はいるのだろう。
つまり、クラウスと一緒になるとは、そういうこと。どこからか誰かから見張られている世界。それを考えるだけでも、ファンヌは息が詰まりそうになっていた。
妊娠初期であるアデラは、部屋で休んでいると言った。その部屋も、彼女の妊娠がわかってから、クラウスが用意したものらしい。
残念ながらファンヌは、王宮に専用の部屋を持っていない。
ファンヌがクラウスと共に神殿を訪れ、神官長に書類を手渡すと、彼は驚いたように口を開けた。だが、すぐに平静を装い、書類を受け取る。
「神の名の元に、お二人の婚約は解消されました」
ファンヌは恭しく頭を下げ、神官長の元を去る。
神殿から外に出た途端、ファンヌは青い空に向かって両手を大きく上げ、伸びた。
「クラウス様。今までお世話になりました。私が受けておりました王太子妃教育も、本日で終了です。どうかアデラ様とお幸せに」