婚約者の浮気相手が子を授かったので
◇◆◇◆
瞼の向こう側を光によって叩かれ、ファンヌは目を開けた。
(そうか……。私、ベロテニアに来たんだ……)
どうやら昨日、雨戸を閉め忘れたようだ。カーテンの隙間を拭うように、朝日が部屋の奥に入り込んでいる。
カーテンをそっと避けて窓から外を眺めると、下に広がる薬草園が視界に入った。ところどころ、人が固まっているのは薬草を摘んでいるのだろう。一般的に、薬草は昼前の涼しい時間に摘まれる。日中の暑い時間に摘んだ薬草は長持ちしないと言われているためだ。
(朝食の時間まで、まだあるわ。少し、散歩してきてもいいかしら)
ファンヌは寝間着を脱いで、適当なワンピースに着替えた。若草色のワンピースになったのは、それが一番手前にあったからだ。
そっと部屋の扉を開け、廊下に出ようとするとぬぅっと目の前に人影が現れた。
「うわっ。おはようございます、先生。どうされたのですか?」
ファンヌの部屋の前に立っていたのはエルランドだった。
「ああ、おはよう。朝の散歩に誘いにきた。昨日、君を薬草園に案内できなかったから。この時間なら、薬草摘みの者もいるから、必要なものがあれば分けてもらえる」
眼鏡を押し上げながらエルランドは答えた。
瞼の向こう側を光によって叩かれ、ファンヌは目を開けた。
(そうか……。私、ベロテニアに来たんだ……)
どうやら昨日、雨戸を閉め忘れたようだ。カーテンの隙間を拭うように、朝日が部屋の奥に入り込んでいる。
カーテンをそっと避けて窓から外を眺めると、下に広がる薬草園が視界に入った。ところどころ、人が固まっているのは薬草を摘んでいるのだろう。一般的に、薬草は昼前の涼しい時間に摘まれる。日中の暑い時間に摘んだ薬草は長持ちしないと言われているためだ。
(朝食の時間まで、まだあるわ。少し、散歩してきてもいいかしら)
ファンヌは寝間着を脱いで、適当なワンピースに着替えた。若草色のワンピースになったのは、それが一番手前にあったからだ。
そっと部屋の扉を開け、廊下に出ようとするとぬぅっと目の前に人影が現れた。
「うわっ。おはようございます、先生。どうされたのですか?」
ファンヌの部屋の前に立っていたのはエルランドだった。
「ああ、おはよう。朝の散歩に誘いにきた。昨日、君を薬草園に案内できなかったから。この時間なら、薬草摘みの者もいるから、必要なものがあれば分けてもらえる」
眼鏡を押し上げながらエルランドは答えた。