婚約者の浮気相手が子を授かったので
昨日、エルランドと王宮に行き、戻ってきてからファンヌの心臓がおかしかった。エルランドを見るたびに、ちょっとだけドクンと苦しくなるのだ。
(でも、『惚れ薬』なんてものがあったら、今頃、大騒ぎよね。そもそも、人の気持ちを操るような薬は作れないのだから)
ファンヌは自身にそう言い聞かせることで、なんとか気持ちを落ち着かせ、帳面に文字を走らせる。
それが終わると立ち上がり、ここに持ってきたトランクの一つを開け、荷物の片づけを始めた。そして気付いた。衣類が足りない。そもそも現地調達をしようと思っていたのだ。ドレスやワンピースはこちらで準備をしてくれていたようだから、それは足りている。肝心の下着が足りていない。
こちらでのファンヌの当面の生活費用は、どうやらヘンリッキがエルランドに預けたようだ。そのようなことをエルランドが口にしていた。
だから、ファンヌは最小限のお金しか持っていない。
悩んだ挙句、カーラを呼ぶことにした。ベルを鳴らせばカーラが来るはずだったのに。
扉を叩く音に返事をすると、なぜか現れたのはエルランドだった。
「どうかしたのか?」
困った様に首を傾げて彼が尋ねてきた。
(でも、『惚れ薬』なんてものがあったら、今頃、大騒ぎよね。そもそも、人の気持ちを操るような薬は作れないのだから)
ファンヌは自身にそう言い聞かせることで、なんとか気持ちを落ち着かせ、帳面に文字を走らせる。
それが終わると立ち上がり、ここに持ってきたトランクの一つを開け、荷物の片づけを始めた。そして気付いた。衣類が足りない。そもそも現地調達をしようと思っていたのだ。ドレスやワンピースはこちらで準備をしてくれていたようだから、それは足りている。肝心の下着が足りていない。
こちらでのファンヌの当面の生活費用は、どうやらヘンリッキがエルランドに預けたようだ。そのようなことをエルランドが口にしていた。
だから、ファンヌは最小限のお金しか持っていない。
悩んだ挙句、カーラを呼ぶことにした。ベルを鳴らせばカーラが来るはずだったのに。
扉を叩く音に返事をすると、なぜか現れたのはエルランドだった。
「どうかしたのか?」
困った様に首を傾げて彼が尋ねてきた。