ビター・マリッジ
恥ずかしさやその他諸々の感情が湧き上がってきて、カーッと頬を赤く染めると、幸人さんがククッと揶揄うように笑った。
「いや、可愛かったのか。気付けば、いつの間にか絆されていた」
「嘘。幸人さん、私が誘わなければ触れてこないし。触れてるときだって、全く何も感じてないような顔してたし。私のことなんて、全く相手にしてなかったじゃないですか」
「そんなことない。俺から先に手を出したら、梨々香が誘ってこなくなるだろ。あの手この手で梨々香が一生懸命誘ってくるのを待つのがおもしろいのに」
「おもしろい、って……」
じろっと睨むと、幸人さんが私の唇に軽く口付けてきた。
「月一の梨々香の誘いが可愛くて、俺からできるだけ手は出さないようにして我慢してたんだが。あんまり手を出さずにいると、他の男を誘おうとするみたいだからな」
「誘ってませんよ」
幸人さんは、小山くんのことを言っているんだろう。強い口調で否定すると、幸人さんがククッと笑って私を膝の上に抱き上げた。