ビター・マリッジ
◇
とある日曜日の朝。早くに目覚めた私がコーヒーを淹れていると、幸人さんが目を擦りながら寝室から出てきた。
「おはようございます」
「おはよう。休みなのに早いな」
「なんか、目が覚めてしまって。コーヒー飲みますか?」
「あぁ、もらう」
眠たそうに顔を洗いに行く幸人さんの背中を見送ってから、食器棚からコーヒーカップをふたつ用意する。
休みなのに朝早く目が覚めてしまったのは、半分くらいは幸人さんのせいだ。
明け方、なんだか身体が重たいと思って目を開けると、眠りにつくときには離れていたはずの幸人さんが私を抱き枕にして眠っていて。動揺した私の目はすっかり冴えてしまった。
しばらくはスヤスヤと眠る幸人さんの顔を眺めて時間をやり過ごしていたのだけれど、そうしているうちに幸人さんの綺麗な寝顔に触れたい衝動がだんだんと抑えきれなくなって。
幸人さんの休日の睡眠を妨げないように、そっとベッドから抜け出したのだ。