ビター・マリッジ



ベッドの上でぼんやりと天井を見上げていると、私の隣で幸人さんが起き上がった。


「どこに……?」

Tシャツを着てベッドから離れようとする幸人さんのことを、反射的に引き留める。

ブランケットに包まった身体の火照りがまだ消え去らない私とは違って、つかんだ幸人さんの手からは完全に熱が冷めていた。

幸人さんの私に対する気持ちが全てそこに現れているような気がして。つい触れてしまったことを後悔しながら、彼から手を離す。


「ごめんなさい……」

「水を飲みに行くだけだ。いるか?」

「それなら、私が……」

慌てて起き上がると、包まっていたブランケットが肩から落ちた。

ついさっきまでしていたことに比べたらどうってことはないはずなのに。何も身に付けていない上半身を幸人さんの前に晒すことになってしまい、羞恥に頬が火照る。

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