ビター・マリッジ
「幸人さん……待っ……」
下着の横から差し入れられた幸人さんの指に、下半身がびくりと反応する。
羞恥に頬を染める私の顔を見ても、幸人さんは顔色ひとつ変えない。指が動くたびに反応して震える私を無表情で見つめながら、ふっと息を漏らしただけだった。
「月に一回のタイミングだからと、誘ってきたのはそっちだろ」
私の耳元でささやく幸人さんの声は、冷たく素っ気ない。
私を何とも思っていない幸人さんの言葉に、胸がキリキリと痛むのに、幸人さんに触れられる身体だけが熱を帯びて火照っていく。
幸人さんは、彼の膝の上で身を捩らせる私の身体を手と指で散々に弄んでから、乱れた息を漏らす私を抱き上げた。
私を軽々と寝室まで運ぶと、スプリングの良いキングベッドに乱暴におろす。
私を組み敷いた幸人さんは、最後までほとんど表情を変えることなく私を抱いた。月に一度の義務みたいに。
月に一度、幸人さんと肌を重ねる度、私の心に虚しさと哀しみが募る。
結婚して三ヶ月になる夫の幸人さんは、私のことなど微塵も愛していないのだ。