ビター・マリッジ



私の父が代表を務める旧財閥グループ、四ノ宮ホールディングスと業界トップクラスの菅原工業。そこの副社長を務める菅原(すがはら) 幸人(ゆきと)と私が出会ったのは、今から一年ほど前のことだ。

場所は、日本庭園のある高級会席料理店。そこで私は、幸人さんの婚約者だった姉の紀香(のりか)の家族として紹介された。

幸人さんと姉のお見合いを勧めたのは、四ノ宮ホールディングスの代表を務める私の父と、菅原工業の社長を務める幸人さんのお父様のふたり。

お見合いは、菅原工業側が四ノ宮ホールディングスとの友好関係を築きたいがために申し出てきたもので、いわゆる、企業利益を目的とした政略結婚だった。

姉は最初、父が持ってきたお見合い話を拒否していた。

ところが途中で気が変わったらしく、話を断ろうかというギリギリの段階になって、お見合い話を受け入れた。

お見合いのあと、姉と幸人さんの結婚の話はトントン拍子に進んでいった。

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