歯が痛すぎて無言になったら、冷たかった婚約者が溺愛モードになった件
「ありがとうございます。ライル様をイメージして作りましたの」
「うん、いいね。次は僕がプレゼントしよう」
「まあ! では一緒に選ばせてほしいですわ! 今度はアイスブルーの生地のリボンを考えてましたの!」
「では馬車の中で予定を立てよう」
「はい!」
ライル様とピッタリと寄り添いながら、登校中の馬車の中でデートの予定を立てていく。
こんな当たり前のような日常が、とても大切なものだったのだと実感したのだった。
「ああ、そうだ。リアのクラスだけど、僕と同じクラスに戻したから」
「えっ! でもわたくしだけころころとクラスを変えたら、よろしくないではございませんか?」
「そもそも、あの王女が勝手なことをしただけだから問題ない」
マリアン様は今も王城の外れにある西棟で、嫁ぐ準備ができるのを待っていた。厳しい処分が降ってしまったけど、大人しくその時を待っているそうだ。
「そ、そうですか。それならいいのです。あ、そうだわ。今日は殿下とシルビア様と四人でランチの日なので、焼き菓子を作ってきたのです」
「……っ!!」
これはいつの間にか週に二回ほど、ランチを一緒に摂るようになった王太子殿下から聞いた。
ライル様に言われたのもあって、シルビア様を誘って四人でランチタイムを過ごすのが定番となった。