歯が痛すぎて無言になったら、冷たかった婚約者が溺愛モードになった件
そうして、四人でランチをいただく時間でシルビア様に相談することにした。
「仮装をいたしますの? それは楽しそうですわね!」
「そうなのです。そこでシルビア様に衣裳の相談に乗っていただきたいのです」
「任せてちょうだい! ハーミリアさんを可憐に美しく優雅に仕上げてみせるわ!」
「でもライル様には当日まで内緒なので、よろしくお願いしますね」
わたくしたちの会話を聞いていた王太子殿下が、ワクワクした様子で会話に参加する。
「その仮装は民たちだけがするものなのか? 貴族の令嬢子息の参加は許されているか?」
「はい、領地に戻れない貴族の方は王都の収穫祭に参加されますので、中には仮装する方もいらっしゃいますわ。貴族の方は神々や妖精などが多いですわね」
これはきっとご自身も仮装したいのだ。ソワソワしているところを見ると相当乗り気だと思われる。でも伯爵令嬢のわたくしが気軽に王太子殿下を誘うわけにもいかない。
チラリとライル様を見ると、わたくしの気持ちを察してくれたのか、わずかに微笑んで王太子殿下に声をかけてくれた。