歯が痛すぎて無言になったら、冷たかった婚約者が溺愛モードになった件

「ジュリアス様も一緒に参加されますか?」
「えっ、いいのか?」
「警備の問題がないのであれば、僕はかまいません。リアもそれでいいか?」
「はい! それならシルビア様も一緒に参加されませんか? わたくしもシルビア様の衣装を考えたいですわ」
「私もよろしいの? 殿下がそれでもいいとおっしゃってくださるなら、参加してみたいですわ」

 最近では随分と素直になったシルビア様が、チラリと王太子殿下に視線を向けた。ぱあっと満面の笑みを浮かべた殿下の気持ちは、返事を聞くまでもない。

「いいに決まっている! では、一般的な貴族として参加しよう。それなら仮装しても問題ないな?」
「もちろんです。警備の問題もありますので、そちらはよく相談してください」
「ああ、警備についてはしっかり対応する。シルビア嬢も一緒に参加するなら併せて準備しよう」

 王太子殿下がシルビア様に想いを寄せているのは、四人でランチをともにしはじめてすぐにわかった。
 シルビア様が他所を見ている時にジッと見つめて、視線が合うとパッと逸らしてしまうのだ。ある日の帰りの馬車でライル様に尋ねたら、もう三年もそんな状況らしい。
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