歯が痛すぎて無言になったら、冷たかった婚約者が溺愛モードになった件
それよりもライル様だ。このまま外に出たら、女性が寄ってきて危険ではないかしら!?
どうしましょう、今から参加を取りやめる方法はないの!?
「リア、今日の収穫祭に行くのを止めないか?」
「まあ、ライル様。奇遇ですけれど、わたくしも同じことを考えてましたの」
「おい、ふたりともなにを言っている。今日のために死に物狂いで公務も片付けてきたんだ。絶対に取りやめないぞ」
「そうですわ! 私、ハーミリアさんとも収穫祭を楽しみたいのよ」
あっけなく王太子殿下とシルビア様に反対されてしまった。当然なのだが、ライル様が他の女性に言い寄られるのではないかと不安になってしまう。
「リア、すまない。あまりにも可憐でかわいくて僕だけが今のリアを堪能したいと思ってしまった」
「いいえ、わたくしもライル様があまりにも素敵で他の女性に言い寄られるのではと不安になってしまったのです」
「それなら心配いらない。僕はリアしか目に入らない」
「わかったから、そろそろ行くぞ」
王太子殿下の声でわたくしたちは馬車に乗り込み、大広場を目指した。