歯が痛すぎて無言になったら、冷たかった婚約者が溺愛モードになった件

「あら、黒板が汚れているわね」

 ライオネル様に学院まで送ってもらった後は、クラスが違うので別行動になる。次にライオネル様に会うのは、ランチの時間だ。

 それまではどんな会話をしようか、ウキウキしながら考えているのだけど学院生活のことは内容を厳選して話している。

「うーん、こんなこと聞いてもライオネル様はつまらないわよね」

 目の前の黒板に書かれているのは。

【ハーミリア・マルグレンはライオネル様に愛されていない!! さっさと婚約破棄されろ!! 強欲女!!】

 確かに強欲女ではある。
 自分に気のない婚約者をいつまでも追いかけ回し、どんなに冷たくされてもアピールし続けて自分のものにしようとしているのだから。

 これを書いた人物はなかなか観察眼のある人物のようだ。もし誰なのか判明して、有能な人物ならライオネル様にとってプラスになるかもしれない。その時はわたくしがさりげなく紹介しましょう。
< 5 / 208 >

この作品をシェア

pagetop